社会人の学び直しについて政府が支援するというニュースを見ました。正解というのが本当に分からなくなってきた今のご時世、意欲さえ持ち続けていれば、いつからでも、誰でも学ぶことができる可能性があると考えられます。我々大人も学び続けなければならないと強く感じています。しかしながら、日々子供たちと関わる中で意欲を持つことが難しく、学習に向かいづらい心理状態の児童がいるようです。
そこで今回は、⑴学習意欲に関する3つの要素と、 ⑵学習意欲の低下を防ぐポイントについて心理学の視点からお話させていただきたいと思います。夏休みの宿題を計画的に終わらせたり、2学期に向けた子供たちへの意欲付けをしたりする際にご活用ください。
1 学習意欲に関する3つの要素
まず、意欲という言葉について、言葉の定義をはっきりさせておく必要があります。インターネットで検索すると意欲=「積極的に行おうとする心」などと書かれています。では、どうすれば、そのような心を持つことができるのか。ポイントとなるのが、動機付けです。以前、お話したことがありますが、動機付けには、『内発的動機付け』と『外発的動機付け』の2種類があります。基本的に、『内発的動機付け』の方が、継続しやすく、より主体性を育む動機付けであると言えます。
今日は、この動機付けが何によって行われるのか。3つのポイントと具体例を挙げたいと思います。 動機付けを促す3つのポイントとは、①有能感、②自律性、③関係性です。下に、簡単な解説と具体例を示します。
有能感:自己効力感といったりもしますが、自分にはこれができると自覚できることです。
自律性:行う活動が、どのくらい自分に決定権があるかということです。自己決定理論では、裁量権が多いほど、内発的動機付けは高まるとされています。
関係性:何をするかよりも誰と活動を行うかということです。旅行もどこに行くかは大事ですが、それよりも誰と行くかの方が重要ですよね。
2学習意欲の低下を防ぐポイント
ここからは、動機付けを高めるための支援についてお話します。まず、絶対に避けなければならないことをお伝えします。それが、『学習性無力感』を子供に抱かせないということです。
『学習性無力感』とは、行動の結果が伴わない経験を何度も経験することで、やがて何をしても無意味だと考え、行動しなくなってしまうことです。よく例えに使われるのは、サーカスの象でしょう。象は、本気で逃げようと思えば、逃げ出すことができるかも知れません。しかし、そうはしません。これは、象が訓練の中で、主体的な行動を制限され続けた結果と考えられます。決められた行動のみをするように学習しているのです。*象の野性的な行動というのは、サーカスの象にはほとんど見られません。
人は、理由があるから行動すると考えられています。
しかし、行動分析学では異なった考え方をします。
行動の理由は結果があるからという考え方です。下図をご覧ください。
さて、これからも行動、つまり働くことを続けるのは、AとBのどちらでしょうか?間違いなく、Aですよね。このように、行動分析学では人の行動は、結果によって変化する。言い方を変えれば、結果を変えると行動が変わると言えます。つまり、子供たちの行動に対して、我々大人がどのように対応するかで子供たちの行動を変化させることができます。・・・実際には、様々な要因が複雑に絡んでいるので、こんな単純ではありませんが、子供たちの行動の結果について、それを増やしたり無くしたりする行動は、1か月もすれば変化させることができます。
学習意欲について悩んでいるという方は、問い合わせやYouTubeのコメント欄からご連絡いただければと思います!!
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